生成AIで仕事が激減したベトナムオフショア拠点の未来
- Daisuke Neigisi

- 8月5日
- 読了時間: 10分
生成AIの登場によって、システム開発の現場は大きく変わりました。
これまでエンジニアが何時間もかけていたプログラムの作成、テストコードの生成、仕様書の整理、エラーの調査といった作業を、AIが短時間で支援できるようになっています。
特にベトナムオフショア開発では、その影響が顕著です。
日本企業から仕様書を受け取り、多くのエンジニアを配置して開発する。人数、稼働時間、人月単価を基準にプロジェクトを管理する。
こうした従来型のオフショア開発モデルは、生成AIによって急速に競争力を失いつつあります。
10人で行っていた定型的な開発作業を、AIを活用した少人数のチームで進められるようになれば、単純に人を増やすことは価値ではなくなります。
では、ベトナムオフショア拠点は不要になるのでしょうか。
私は、そうは考えていません。
なくなるのは、指示された作業を安く実行するだけのオフショア拠点です。
これから求められるのは、AIと人間の力を組み合わせ、顧客企業の事業成果を継続的に生み出す拠点です。
「人を提供する拠点」から「事業成果を生み出す拠点」へ
これまでベトナムオフショア開発が評価される大きな理由は、コストでした。
日本国内でエンジニアを採用するよりも低いコストで開発体制を構築できる。必要な人数を確保しやすく、開発リソースを拡大しやすい。
しかし、生成AIによって開発生産性が大幅に向上すると、「何人のエンジニアを提供できるか」という価値は相対的に小さくなります。
企業が本当に求めているのは、エンジニアの人数ではありません。
売上が伸びること。
業務が効率化されること。
新しいサービスが生まれること。
顧客体験が改善されること。
システムが安定して動き続けること。
つまり、企業が必要としているのは開発リソースではなく、事業成果です。
ベトナムオフショア拠点も、単なる開発工場から、顧客企業の事業に深く入り込むパートナーへ変わらなければなりません。
AI駆動開発だけでは、事業成果は生まれない
最近では、「AI駆動開発」を掲げるシステム開発会社が増えています。
AIを活用して開発期間を短縮する。
自動テストによって品質を高める。
少人数で開発し、コストを抑える。
これらは非常に重要な取り組みです。TFも、生成AIを開発工程に積極的に取り入れています。
しかし、開発が速くなれば、必ず事業が成功するわけではありません。
そもそも、何を開発するべきなのか。
そのシステムは、本当に顧客や現場に必要とされているのか。
既存システムとどのように連携するのか。
個人情報や機密情報をどのように守るのか。
AIが誤った回答や判断をした場合、誰がどのように対応するのか。
リリース後に、誰がシステムを監視し、改善し続けるのか。
こうした問題は、プログラムを速く書くだけでは解決できません。
むしろ生成AIによって開発自体が容易になったからこそ、企画、要件定義、事業設計、セキュリティ、ガバナンス、運用の重要性が高まっています。
TFが目指しているのは、単なるAI駆動開発会社ではありません。
私たちが目指すのは、AI Business Infrastructure Companyです。
AI Business Infrastructure Companyとは何か
AI Business Infrastructure Companyとは、AIシステムを開発して納品する会社ではありません。
AIが実際に事業成果を生み、安全かつ説明可能な状態で稼働し続けるための基盤をつくる会社です。
TFは、次の3つを一体で提供します。
1.Business by AI
AIを導入するのではなく、事業成果をつくる
生成AIの導入そのものを目的にしてはいけません。
「競合他社もAIを導入しているから」
「経営会議でAI活用を求められたから」
「とりあえず社内向けのチャットボットをつくりたいから」
このような理由だけでAIプロジェクトを始めても、具体的な成果につながらない可能性があります。
TFが最初に考えるのは、どのAIモデルを使うかではありません。
どの事業課題を解決するのか。
どの業務を変えるのか。
どの数字を改善するのか。
誰に、どのような価値を提供するのか。
ということです。
例えば、営業活動にAIを活用するのであれば、提案書の作成時間を短縮するだけでは不十分です。
顧客情報や過去の商談履歴を活用し、次に提案すべき商品やアクションを提示する。失注理由を分析し、営業戦略を改善する。問い合わせ内容を分類し、成約可能性の高い顧客を担当者へつなぐ。
ここまで実現して初めて、AIが売上向上に貢献していると言えます。
TFは、AIの導入ではなく、売上向上、生産性向上、新規事業の創出、顧客体験の改善を目的としてプロジェクトを設計します。
2.Trust by Design
信頼を企画・設計段階から組み込む
AIは便利である一方、さまざまなリスクを伴います。
入力した情報がどのように利用されるのか。
AIが生成した文章や画像に著作権上の問題はないか。
誤った回答によって、顧客や利用者に不利益を与えないか。
重要な判断をAIだけに任せてよいのか。
問題が起きたときに、判断の経緯を説明できるのか。
これらをリリース直前に確認するのでは遅すぎます。
TFは、セキュリティ、プライバシー、著作権、透明性、人間による監督、法令や社内規程への対応を、企画・要件定義・設計の段階から組み込みます。
誰が、どの情報にアクセスできるのか。
どのデータをAIへ入力してよいのか。
どの操作や回答を記録するのか。
AIの回答を人間が確認すべき場面はどこか。
誤回答や不適切な出力を、どのように検知するのか。
モデルや外部サービスが変更された場合、どのように影響を確認するのか。
こうしたルールと仕組みを最初から設計することで、AIを安心して事業に組み込めるようになります。
特に大企業、金融機関、上場企業、IPOを目指す企業では、便利さだけでなく、証跡、アクセス管理、ログ、内部統制、監査への対応が欠かせません。
TFは、AIを「使える状態」にするだけではなく、企業が安心して「使い続けられる状態」を設計します。
3.Operation by Default
開発後の運用を最初から前提にする
システム開発では、リリースがゴールとして扱われることがあります。
しかし、AIシステムは、リリースしてからが本当のスタートです。
利用者は正しい使い方をしているか。
期待した回答精度を維持できているか。
特定の質問に対して誤った回答が増えていないか。
利用料金やインフラコストが想定以上に増えていないか。
外部のAIモデルやAPIの仕様変更による影響はないか。
個人情報や機密情報が不適切に入力されていないか。
事業環境や顧客ニーズの変化に対応できているか。
AIは、一度つくれば同じ品質で動き続ける製品ではありません。
データ、利用方法、外部サービス、AIモデル、法律、社内ルールなどの変化に合わせて、継続的に評価し、改善する必要があります。
そのためTFでは、監視、評価、改善、監査、障害対応、モデル変更への対応までを、開発とは別の作業ではなく、サービスの標準範囲として考えます。
これが「Operation by Default」です。
開発して終わるのではなく、事業成果が生まれ続ける状態を運用する。
TFは、そこまで責任を持ちます。
生成AI時代のベトナムオフショア拠点に必要な役割
生成AI時代においても、ベトナムオフショア拠点には大きな可能性があります。
ただし、従来と同じ仕事を、従来と同じ方法で続けることはできません。
定型的なコーディング、テスト、ドキュメント作成、調査は、積極的にAIへ任せる。
人間は、顧客との対話、要件の整理、アーキテクチャ設計、品質判断、セキュリティ、例外対応、運用改善など、より高度な仕事へ集中する。
評価基準も、人数や稼働率から変える必要があります。
どれだけ早く仮説を検証できたか。
どれだけ品質を高められたか。
どれだけ障害を減らせたか。
どれだけ業務時間を削減できたか。
どれだけ売上や顧客満足度に貢献できたか。
こうした成果を基準として、開発組織を評価するべきです。
これからのベトナムオフショア拠点は、「安い人材を集める場所」ではありません。
AIを活用しながら、日本側の事業責任者、プロジェクトマネージャー、顧客企業の現場と一体になり、継続的に事業を改善する拠点です。
TFが複雑なプロジェクトに向き合う理由
AIによって効率化しやすいのは、一定の型がある開発です。
一方で、企業の現場には、型だけでは解決できない問題が数多く存在します。
複数の部門や経営陣との合意形成。
既存の基幹システムや外部サービスとの連携。
長年蓄積されたデータの移行。
現場ごとに異なる業務ルールや例外処理。
セキュリティ、監査、内部統制への対応。
複数の開発会社や関係者をまとめるプロジェクト管理。
こうした領域では、AIが自動的に正解を出してくれるわけではありません。
必要なのは、技術だけでなく、事業、組織、人間関係、リスクを理解した上で、現実的な選択肢をつくる力です。
TFは、単に「できます」と回答するのではなく、前提条件、リスク、代替案、費用対効果、段階的な投資計画まで整理します。
一度に大きなシステムをつくるのではなく、小さく検証し、成果を確認しながら投資を拡大する。
開発会社の都合ではなく、経営者が正しい投資判断をできる状態をつくる。
これも、AI Business Infrastructure Companyとしての重要な役割です。
企画から運用改善まで、一気通貫で支援する
ベトナムオフショア開発がうまくいかない原因は、ベトナムのエンジニアの能力だけにあるわけではありません。
日本側で目的や要件が整理されていない。
意思決定者が不明確である。
仕様変更のルールが決まっていない。
日本側とベトナム側の間に入り、責任を持って判断する人がいない。
開発後の運用体制が設計されていない。
こうした構造的な問題を抱えたままでは、優秀なエンジニアを集めてもプロジェクトは成功しません。
TFは、企画、事業設計、要件定義、プロジェクトマネジメント、システム開発、AI開発、品質管理、セキュリティ、運用監視、継続改善までを一気通貫で支援します。
日本側とベトナム側を分断せず、一つのチームとして運営する。
顧客企業から依頼されたシステムをつくるだけでなく、何をつくるべきかを一緒に考える。
そして、完成後も利用状況や成果を確認し、必要な改善を続ける。
これが、TFが考えるこれからのベトナムオフショア開発です。
AIが仕事を奪うのではなく、求められる価値を変える
生成AIによって、ベトナムオフショア拠点の仕事は確実に減ります。
しかし、それはベトナムオフショア開発の終わりではありません。
価値の低い定型作業が減り、人間にしかできない仕事の重要性が高まるということです。
指示されたものをつくる人材ではなく、顧客の事業を理解して提案できる人材。
コードを書く人材ではなく、AIが生成した成果物を正しく評価できる人材。
開発して終わる会社ではなく、事業成果と安全な運用に責任を持つ会社。
生成AI時代には、オフショア開発会社そのものの存在意義が問われます。
TFの価値は、AIシステムを納品することではありません。
AIが事業成果を生み、安全かつ説明可能な状態で稼働し続けることに責任を持つ。
これが、TFの新しい事業領域です。
そして、これこそが、生成AIで仕事が激減したベトナムオフショア拠点が進むべき未来だと考えています。
システム開発やAI活用について、まだ要件が整理されていなくても問題ありません。
「何から始めるべきか分からない」
「ベトナムオフショア開発がうまくいっていない」
「AIを事業に活用したいが、リスクが不安」
「新規事業の企画から開発、運用まで相談したい」
そのような段階から、TFは一緒に考えます。
開発の相談ではなく、事業の相談から始めてください。
Tomorrow Future株式会社は、AIと人、人と企業、日本とベトナムをつなぎ、事業が成長し
続けるためのインフラをつくっていきます。




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