ベトナム拠点は「作る」より「閉じる」が難しい。オフショア開発で経営者が知っておくべき撤退リスク
- Daisuke Neigisi

- 4 日前
- 読了時間: 8分
ベトナムオフショア開発を検討している企業から、よく相談されることがあります。
「ベトナムに開発拠点を作りたいのですが、どうやって始めればいいですか?」
もちろん、拠点の立ち上げ方は重要です。
法人を設立するのか。現地企業と契約するのか。ラボ型開発にするのか。自社採用するのか。日本側にPMを置くのか。どこまでベトナム側に権限を持たせるのか。
考えるべきことはたくさんあります。
しかし、Tomorrow Future株式会社(TF)が自社でベトナム事業を経験してきた中で、経営者として強く感じていることがあります。
それは、
「ベトナム拠点は、作ることよりも閉じることの方が難しい」
ということです。
これは、これからベトナムオフショア開発やベトナム法人設立を検討する経営者に、ぜひ知っておいてほしいことです。
TF自身も、ベトナム拠点のクロージングを経験した
TFは長年、ベトナムと関わりながら事業を行ってきました。
ベトナム人エンジニアとのシステム開発、現地人材の採用、事業運営、現地企業との交渉など、単に日本からベトナム企業へ開発を発注するだけではなく、実際に現地で事業を運営してきた経験があります。
そして最近、一部のベトナム拠点を閉鎖するという経営判断をしました。
経営をしていれば、事業を始めることもあれば、撤退することもあります。
撤退そのものは失敗ではありません。
市場環境、収益性、人材、経営資源、今後の成長戦略を考え、必要であれば素早く事業ポートフォリオを組み替える。
これは経営者として当然の仕事だと思っています。
しかし、実際にベトナム拠点を閉じてみると、日本企業がイメージしている以上にクロージングは簡単ではありませんでした。
短期間でクロージングするために、当初想定していなかった高額な現地調整コストも発生しました。
税務、会計、契約、従業員、行政手続き、銀行口座、資産など、一つずつ整理しなければなりません。
「事業を停止すれば終わり」
ではないのです。
ベトナムでは「撤退コスト」まで考えて拠点を作る必要がある
ベトナム拠点設立の話になると、多くの企業は最初のコストばかりを比較します。
「エンジニア単価はいくらなのか」
「日本より何%安いのか」
「何人採用すれば採算が合うのか」
もちろん重要です。
しかし、本当に見るべきなのはTotal Costです。
つまり、
設立するコスト+運営するコスト+管理するコスト+撤退するコスト
まで含めて考える必要があります。
ベトナムの企業解散では、従業員に対する未払い給与や社会保険などの義務、税務債務、その他の債務を整理することが求められています。
外資企業の場合には、投資プロジェクトの終了、税務手続き、社会保険、各種登録など、さらに複数の論点が絡みます。
つまり、入口だけを見てベトナムへ進出すると、出口で苦労する可能性があります。
これは実際に現地で事業をやった会社だからこそ分かることです。
「ベトナムは安い」だけで進出すると危険
私は以前から、ベトナムオフショア開発を単なる人件費削減として考えることには違和感があります。
確かに日本と比較すれば、エンジニアの人件費にはまだ差があります。
しかし、
「日本人エンジニアより安いからベトナムへ行こう」
という発想だけでは、長期的にはうまくいきません。
現地法人を作れば、エンジニア給与以外にもさまざまなコストが発生します。
採用、離職対応、マネジメント、オフィス、会計、税務、社会保険、契約、ライセンス、銀行、現地行政とのコミュニケーション。
さらに撤退するときにもコストがかかります。
表面的な人月単価だけ比較して、
「ベトナムなら日本の半額です」
と計算してしまうと、経営としての判断を間違える可能性があります。
大切なのは、開発単価ではなく、
「そのベトナム拠点が最終的にどれだけ事業価値を生むのか」
を見ることです。
2026年、ベトナムの税務・コンプライアンス環境も変わっている
さらに現在のベトナムでは、税務やコンプライアンスへの対応も以前以上に重要になっています。
2026年7月1日には新しい税務管理法が全面施行され、電子化・データ活用を前提とした税務管理、透明性、コンプライアンスがさらに重視される方向になっています。
法人税についても新しい制度・実務ガイダンスが導入されており、ベトナムで事業を行う企業は制度変更を継続的にキャッチアップする必要があります。
昔の感覚で、
「現地に詳しい人に全部任せれば大丈夫」
という経営は、ますます難しくなると思っています。
だからこそ、日本側の経営者が最低限の構造を理解したうえで、信頼できる現地パートナー、会計・税務・法務の専門家と連携する必要があります。
ベトナム拠点設立で重要なのは「出口を先に設計すること」
では、どうすればいいのか。
TFがこれからベトナム拠点を作る企業に最も伝えたいのは、
「設立する前に撤退方法まで決めてください」
ということです。
私はシステム開発でも新規事業でも同じだと思っています。
うまくいく前提だけで計画を作ってはいけません。
もし売上が予定の50%だったらどうするのか。
採用できなかったらどうするのか。
主要メンバーが辞めたらどうするのか。
オフショア開発そのものを縮小すると判断したらどうするのか。
日本へ機能を戻す場合はどうするのか。
別のベトナム企業へ移管する場合はどうするのか。
法人そのものを閉鎖する場合、誰が何を担当するのか。
ここまで最初に考えておく。
撤退戦略のない海外進出は、経営ではなく賭けになってしまいます。
TFが提案したいのは「いきなり法人を作らない」という選択肢
そして、もう一つ重要なことがあります。
ベトナムで開発したいからといって、必ずしも最初からベトナム法人を設立する必要はありません。
ここを勘違いしている企業は少なくありません。
例えば最初は、
日本側にPM・事業責任者を置く↓TFのベトナム開発ネットワークを活用する↓小規模チームでPoC・開発を開始する↓事業性と組織適性を確認する↓一定規模になった段階で専属チーム化する↓必要になれば現地法人・開発拠点設立を検討する
という進め方もできます。
私はこの方が、多くの日本企業にとって合理的だと思っています。
最初から固定費を持たない。
最初から法人を抱えない。
まず事業を成立させる。
売上や開発需要が見えてから組織を大きくする。
これは生成AI時代には、さらに重要な考え方になります。
エンジニアを大量に抱えること自体が競争力になる時代ではありません。
AIを活用し、少人数の優秀なメンバーで高い成果を出せるのであれば、海外拠点も必要以上に大きくする理由はありません。
TFの強みは「ベトナム進出を知っている」ことではなく「入口から出口まで経験している」こと
ベトナム法人設立を支援する会社はたくさんあります。
オフショア開発会社もたくさんあります。
会計会社も法律事務所もあります。
しかしTFが提供したい価値は、単なる法人設立代行でも、エンジニア提供でもありません。
私たちは実際にベトナムで事業を行い、人を採用し、チームを作り、システムを開発し、現地で問題を解決し、そして拠点を閉じるところまで経験しています。
だから、
「ベトナムに会社を作りましょう」
だけではなく、
「そもそも今、会社を作る必要がありますか?」
というところから話ができます。
これはかなり重要な違いだと思っています。
ベトナムオフショア開発は、正しく使えば今でも強力な経営手段
ここまで読むと、
「ベトナム進出は危ないのでは?」
と思われるかもしれません。
そういう意味ではありません。
私は今でも、ベトナムは日本企業にとって非常に魅力的な市場だと思っています。
優秀な若い人材が多く、日本との距離も近い。
システム開発、新規事業、AI開発などにおいて、ベトナム人材を活用する価値は十分にあります。
問題なのはベトナムではありません。
「どう使うか」です。
安いから行く。
他社もやっているから行く。
エンジニア不足だから、とりあえず行く。
これではうまくいきません。
事業戦略、人材戦略、開発戦略、財務、税務、そして撤退戦略まで考えて初めて、ベトナムオフショア開発は経営の武器になります。
ベトナム拠点を作る前に、TFへ相談してください
TFでは、ベトナムオフショア開発について、
「何人のエンジニアを提供できます」
というところから話を始めません。
まず、
何を実現したいのか。なぜベトナムなのか。本当に法人設立が必要なのか。どこまで内製化するのか。日本とベトナムの役割をどう分けるのか。将来縮小するときにどうするのか。
ここから一緒に考えます。
企画、事業設計、要件定義、PM、システム開発、ベトナム開発体制の構築、運用改善まで、一気通貫でご相談いただけます。
そして私たちは、成功した話だけではなく、撤退まで経験しています。
海外事業において、この経験は大きな価値になると考えています。
ベトナムオフショア開発を始めたい。
すでにベトナム開発を行っているが、うまくいっていない。
現地法人を作るべきか迷っている。
既存のベトナム拠点を再編したい。
撤退まで含めたリスクを整理したい。
そんな企業様は、ぜひTomorrow Future株式会社へご相談ください。
ベトナム拠点は「作ること」がゴールではありません。
事業を伸ばし、必要であれば変え、そしていつでも正しく撤退できる。
そこまで設計して初めて、本当の意味での海外戦略になると思っています。




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