開発が止まる会社に足りない“POC文化”
- Daisuke Neigisi

- 1月21日
- 読了時間: 5分
「要件は決まったはずなのに、開発が進まない」
「作ってみたら違った。手戻りで疲弊した」
「オフショアを使っているのに、なぜかスピードも品質も上がらない」
こうした“開発停止”の根本原因は、技術力や人手不足よりも 「POC(検証)を前提に意思決定する文化=POC文化」 が欠けていることにあります。
そしてこのPOC文化がない組織では、シニアエンジニアの選び方がそのまま成果を左右します。特にベトナムオフショアを活用する企業にとっては、シニア採用の方針が「コスト最適化」なのか「停滞の固定化」なのかを分ける分岐点になります。
そもそもPOC文化とは何か?
POC(Proof of Concept)は、ざっくり言えば 「作る前に、確かめる」 ための短期検証です。ただし重要なのは、POCそのものではなく、POCを回す前提で意思決定する“文化”です。
POC文化がある会社では、こんな会話が当たり前になります。
「この仕様、実現できる?まず3日で検証しよう」
「ユーザーが本当に使う?1週間で仮画面と計測だけ入れよう」
「性能が怖い。負荷の当たり方だけ先に見よう」
つまり、会議より検証、議論よりログ、推測より実測。この姿勢があるかないかで、開発の安定性がまったく変わります。
POC文化がないと、なぜ開発は止まるのか?
止まる会社には、よくある“詰みパターン”があります。
1)「要件定義=確定」と勘違いする
要件定義は“仮説の文章化”にすぎません。本当に確定するのは、検証を通じて「動く・使える・運用できる」が見えた時です。
2)不確実性を“根性”で乗り切ろうとする
不確実なもの(性能、UI、業務フロー、外部連携、データ品質など)を、「経験と気合」で乗り切ろうとすると、後工程で破綻します。
3)シニアが“作業管理者”になり、検証設計をしない
POC文化が弱い現場では、シニアが「スケジュール」「進捗」「レビュー」中心になりがちです。本来シニアがやるべきは、不確実性を潰す検証設計と、意思決定のための材料づくりです。
ベトナムオフショアで起こりがちな「シニアの壁」
ベトナムのオフショアは、若手〜中堅の伸びが非常に良く、スピードも出ます。一方で現場を見ていると、開発経験10年以上の“シニア層”で、成長の伸びが鈍化しやすいケースが一定数あります。
理由はシンプルで、本人の能力というより “市場構造” によるものが多いからです。
仕様通りに作る案件が多く、仮説検証の経験が積みにくい
プロダクト責任(失敗も含めて背負う)を持ちにくい
「何を作るべきか」より「どう作るか」に偏りやすい
仕様の曖昧さを、検証ではなく“確認待ち”で解決しがち
もちろん全員ではありません。突出した人もいます。ただ、企業側が“見極める仕組み”を持っていないと、シニア採用がギャンブル化しやすいのが現実です。
じゃあ結論:シニアは日本人がコスパ良いのか?
結論から言うと、POC文化を根付かせたい・開発停止を防ぎたい企業ほど、シニアは日本人の方がコスパが良くなりやすいです。理由は単価の安さではなく、“止まらない設計”を作れるかにあります。
日本人シニアが強いことが多い領域(価値が出やすい領域)
曖昧な要求を、検証可能な仮説に分解する
「何を決めれば進むか」を定義し、意思決定を前に進める
業務・運用・法務・セキュリティ等の“現実”を踏まえて設計する
ステークホルダー調整(社内政治含む)を通して開発を止めない
POC→MVP→本開発への移行設計(スコープと品質の段階設計)
つまり、単価が高くても「止まるリスク」「手戻り」「炎上対応」「機会損失」 を減らせるなら、結果的にコスパが良くなります。
“日本人シニア+ベトナム中堅”が強い理由
最も成果が出やすい組み合わせは、極端に言えばこれです。
日本人シニア:POC設計/要件の仮説化/意思決定推進/品質基準の設計
ベトナム中堅〜若手:実装スピード/量を作る力/改善を回す力
この形にすると、オフショアの強みが最大化されます。逆に「ベトナムシニアだけで上流〜検証〜推進まで全部」になると、POC文化が薄い組織では止まりやすい。
だから、採用・体制の発想はこう変えるべきです。
「安いからシニアをオフショアで」ではなく「止めないためにシニアは意思決定側に置く」
今日から始める“POC文化”の作り方(超実務)
POC文化は理念ではなく、手順で作れます。おすすめは以下の型です。
ステップ1:POCの目的を1行にする
例)「この外部APIで、ピーク時も3秒以内に応答できるか」
例)「この画面導線で、登録完了率が20%を超えるか」
ステップ2:検証期間は最長でも2週間(理想は3〜5日)
長いPOCは“本開発の前倒し”になり、失敗します。
ステップ3:成果物を「動くもの」+「判断材料」に限定する
動くデモ(最低限)
計測ログ/数値
できる・できないの結論と代替案
ステップ4:POCの結果で“決める会議”を必ず置く
POCはやっただけでは意味がありません。「何を捨て、何に進むか」 を決める場がセットです。
“開発が止まる会社”から抜け出すチェックリスト
1つでも当てはまるなら、POC文化が弱いサインです。
仕様が曖昧なまま、開発だけが先に進む
「確認中」が多く、誰が決めるか不明確
議論は長いが、検証はしない
進捗は追うが、リスクは潰さない
シニアが“管理者”で、検証設計者がいない
オフショアに「上流の穴埋め」まで期待してしまう
まとめ:POC文化がない会社は、シニアの選び方で勝負が決まる
開発が止まるのは、努力不足ではなく構造の問題です。そしてその構造を変える鍵が、POC文化です。
POC文化=不確実性を検証で潰す意思決定の文化
文化がない現場ほど、シニアの価値は“実装力”より“止めない力”
ベトナムは中堅〜若手の伸びが強く、実装スピードを最大化できる
シニアは 日本人シニア+ベトナム中堅 が最も成果につながりやすい
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