ベトナムオフショアは『安さ』の時代から『パートナー』の時代へ。デュアルショア最適化の極意
- Daisuke Neigisi

- 4月8日
- 読了時間: 9分
「ベトナムオフショア」と聞くと、いまだに多くの企業が最初に思い浮かべるのは“開発費を安く抑える手段”ではないでしょうか。
もちろん、コストメリットは今でも重要です。しかし、2026年のいま、企業が本当に求めているのは“ただ安く作ること”ではありません。
求められているのは、事業を前に進めること品質とスピードを両立すること開発後も安定して運用できること複雑な社内調整や運用課題を含めて成功確率を高めることです。
つまり、ベトナムオフショア開発は、もはや「安さ」の時代から「パートナー」の時代へ移っています。
特に、新規事業、既存システム刷新、業務改善、DX推進、AI活用、運用保守まで見据える企業にとって重要なのは、単なるオフショア活用ではありません。日本側とベトナム側、それぞれの強みを最適配置する「デュアルショア最適化」こそが、成功の鍵になります。
今回は、なぜ今「ベトナムオフショア=安い開発会社探し」という考え方では通用しなくなっているのか、そしてなぜ「デュアルショア最適化」が企業成長に効くのかを、実務目線で解説します。
なぜ今、ベトナムオフショアに“安さ”だけを求めると失敗するのか
かつてベトナムオフショア開発は、「日本で作るより安い」「人手不足を補える」「開発リソースを確保しやすい」といった理由で導入されるケースが多くありました。
しかし実際には、安さだけを重視して導入した結果、こんな課題に直面する企業が少なくありません。
・要件が曖昧なまま開発が進み、想定外の追加費用が発生する
・日本側の説明コストが増え、かえってPM負荷が上がる
・品質基準が揃わず、受け入れや改修に時間がかかる
・納品はされたが、その後の運用保守や改善が続かない
・システムは動くが、事業としては成功しない
つまり問題は、ベトナムオフショアそのものではありません。「安く発注すること」が目的化してしまうことにあります。
開発は、単なる制作物ではなく事業投資です。本来は、どこに何を任せ、どこを日本側で持ち、どういう体制で進めるかが極めて重要です。
この考え方がないまま「とにかく安い会社へ依頼する」と、表面上の見積もりは安く見えても、最終的な総コストは高くつきます。
ベトナムオフショア活用で本当に必要なのは“発注”ではなく“設計”
多くの企業が見落としがちなのが、オフショア活用は「開発の設計」そのものであるという点です。
うまくいく会社は、単にベトナムに作業を振っているのではありません。以下をきちんと設計しています。
1. どこまでを日本側で担うのか
企画、要件整理、優先順位づけ、意思決定、社内調整、品質基準、受け入れ判断。これらは、日本市場・日本企業文化・現場事情を理解した上で進める必要があります。
2. どこをベトナム側で強くするのか
実装、テスト、保守、運用監視、反復開発、一定の仕様化された領域。この部分は、適切なルールと体制があれば、ベトナム側の強みを非常に活かしやすいです。
3. 両者をつなぐ仕組みをどう作るか
ここが最重要です。単純なブリッジSE任せではなく、PM、PMO、QA/QC、設計レビュー、ドキュメント整備、進行管理、コミュニケーションルールなど、「橋渡しの仕組み」が必要です。
この設計ができてはじめて、ベトナムオフショアは“安い外注先”ではなく、事業成長を支える“強いパートナー”になります。
デュアルショア最適化とは何か
では、私たちが考える「デュアルショア最適化」とは何か。
一言でいえば、日本とベトナムを役割分担させるのではなく、両拠点の価値を最大化する形で再設計することです。
単なる分業ではありません。「上流は日本、下流はベトナム」といった古い固定観念でもありません。
案件の性質、フェーズ、事業の成熟度、社内体制、ステークホルダーの多さ、技術難易度、運用負荷を踏まえ、最適な配置を柔軟に組み替えていく考え方です。
たとえば、以下のような形です。
・新規事業の企画
・仮説設計
・要件整理は日本主導
・MVPや初期開発はベトナム主体でスピーディーに構築
・重要画面や業務影響の大きい部分は日本側が詳細レビュー
・テスト設計、品質管理、運用監視は日本とベトナムで多層化
・リリース後の改善開発はベトナムを中核にして継続的に実施
・経営判断や投資判断が必要な局面は日本側が責任を持つ
この形にすると、コストだけでなく、スピード、品質、柔軟性、継続運用のすべてが改善しやすくなります。
なぜ“パートナー型”オフショアが求められるのか
現在の開発現場では、単純な「型のある新規開発」だけではなく、より複雑なテーマが増えています。
・既存システムのリプレイス・複数システム連携
・データ移行
・社内業務との整合
・セキュリティ要件
・監査対応・内部統制
・運用設計
・AI導入を含む新規事業開発
こうした複雑案件では、「見積もりが早い」「安い」「実装が速い」だけでは不十分です。
実際、AIや自動化を前面に出した開発サービスは、初期の意思決定を早める点では魅力がありますが、一方で複雑案件・統制・移行・継続運用のような泥臭く重いテーマには弱みが出やすいと整理できます。TFが差別化すべき領域として、複雑調整、レガシー刷新、ITGCやIPO準備などのガバナンス、構築後の継続運用が挙げられているのもそのためです。
つまり、今後の企業に必要なのは、「作れる会社」ではなく、「成功させる会社」です。
そして、その成功は一社単独ではなく、日本とベトナムのハイブリッド体制でこそ実現しやすくなります。
ベトナムオフショアがうまくいかない企業に共通する3つの落とし穴
1. 要件定義を軽視している
「まず作ってみよう」で始めること自体は悪くありません。ただし、何を決めずに進めてよいか、何を先に言語化すべきかの整理がないまま走ると、開発はすぐに迷走します。
特にオフショアでは、暗黙知の共有に頼れません。だからこそ、企画・目的・優先順位・受け入れ条件の言語化が重要です。
2. ベトナム側に丸投げしている
ベトナム側の能力が低いわけではありません。むしろ優秀なエンジニアは非常に多いです。
ただし、丸投げされれば困るのは当然です。事業背景、意思決定ルール、顧客事情、社内政治、運用現場の感覚まで、最初から全部わかるわけではありません。
必要なのは、管理ではなく翻訳です。ビジネスを開発に翻訳し、開発を成果に翻訳する役割が必要です。
3. 開発後の運用まで見ていない
システムは、作って終わりではありません。リリース後の改善、問い合わせ対応、監視、障害対応、性能改善、追加開発まで含めて、ようやく事業に貢献します。
継続的な運用改善を前提にした体制設計がないと、結局また別会社を探すことになり、知見も蓄積されません。
デュアルショア最適化で得られる5つのメリット
1. コスト最適化
“最安”ではなく“最適”です。日本で持つべき工程と、ベトナムで持つべき工程を分けることで、全体コストの無駄を減らせます。
2. スピード向上
日本側の意思決定スピードと、ベトナム側の開発推進力を組み合わせることで、開発サイクルを速くできます。
3. 品質安定
役割分担とレビュー体制を明確にすることで、手戻りや認識ズレを減らせます。QA/QCを多層に置くことで、品質のばらつきも抑えられます。
4. 事業との整合性が高まる
単に仕様通りに作るのではなく、事業目的に沿った優先順位付けができます。結果として、経営や現場にとって意味のあるシステムになりやすいです。
5. 継続改善しやすい
運用保守と改善開発まで一気通貫で見られるため、リリース後も価値を積み上げやすくなります。
今、企業がオフショア会社に求めるべきこと
これからオフショア会社を選ぶ企業は、「単価」や「人数」だけで比較してはいけません。見るべきは、次のようなポイントです。
・事業理解を前提に会話できるか・企画や要件整理から一緒に入れるか
・日本側の窓口が実務を理解しているか
・ベトナム側に継続的な体制があるか
・品質管理、進行管理、レビュー体制があるか
・リリース後の運用まで見据えているか・大企業や中堅企業の複雑な意思決定に耐えられるか
特に、企業の投資判断を支える存在になれるかどうかは大きな分かれ目です。TFの戦略資料でも、価格や納期だけでなく「前提・リスク・代替案・段階投資」までセットで示し、投資判断の質で勝つべきだと整理されています。さらに、ITGCやIPO準備のような統制要件、レガシー刷新や複雑連携、SLAベースの継続運用が差別化ポイントとされています。
これは、これからのベトナムオフショア活用において非常に本質的です。
TomorrowFutureが考える、これからのベトナムオフショア活用
私たちは、ベトナムオフショアを“安価な開発リソース”として扱いません。
そうではなく、日本企業の事業成長を支えるパートナー基盤として捉えています。
そのために大切なのは、単にベトナム人材を集めることではありません。
・日本側で企画と意思決定を整える
・ベトナム側で高い実装力と継続力を出す
・両者の間にPM/PMO/QA/QC/設計レビューを置く
・開発だけでなく運用まで見据える
・必要に応じてAIも活用し、生産性を高める
・それでも最後は“人と体制”で成功確率を上げる
この全体設計があるからこそ、新規事業でも、基幹刷新でも、業務改善でも、システム開発を“前に進む投資”にできます。
こんな企業こそ、デュアルショア最適化を考えるべき
次のような課題を持つ企業には、特に有効です。
・ベトナムオフショアを使っているが、うまくいっていない
・開発会社に依頼しても、事業理解が浅くて困っている
・要件定義から運用までまとめて相談したい
・新規事業をスピーディーに立ち上げたい
・既存システムを刷新したいが、どこから着手すべきかわからない
・日本人エンジニア採用だけでは限界を感じている
・品質、スピード、コストのバランスを取りたい
・将来的にIPO準備や内部統制も見据えたい
こうした企業に必要なのは、単なる受託会社ではなく、一緒に成功の確率を上げる開発パートナーです。
まとめ|これからのベトナムオフショアは“安い会社探し”ではなく“勝てる体制づくり”
ベトナムオフショアは、依然として非常に大きな可能性を持っています。ただし、それは“安いから使う”という発想のままでは引き出せません。
これから必要なのは、
・安さではなく総合的な投資対効果で考えること
・発注ではなく体制設計で考えること
・単独拠点ではなくデュアルショアで最適化すること
・ベンダーではなくパートナーを選ぶこと
です。
ベトナムオフショアの活用に悩んでいる企業ほど、一度立ち止まって「どこに発注するか」ではなく、「どういう体制なら成功するか」を見直してみてください。
その視点を持つだけで、開発の進め方も、成果も、大きく変わります。
ベトナムオフショアは、もう“安さ”だけで語る時代ではありません。これからは、事業を共に前進させるパートナーをどう組むかの時代です。
そして、その答えのひとつが、「デュアルショア最適化」だと私たちは考えています。
お問い合わせ
ベトナムオフショア開発の立ち上げ、見直し、再設計、要件定義、開発、運用保守まで、まずはお気軽にご相談ください。
TomorrowFuture株式会社根岸 大輔 TEL:070-2021-7382 MAIL:daisuke.negishi@tomorrowfuture.co.jp




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