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「ベトナム=安価な開発人材を大量に抱える場所」というモデルの終焉

執筆者の写真: Daisuke Neigisi
Daisuke Neigisi
9月2日
読了時間: 7分

長年、日本企業にとって「ベトナムオフショア開発」の魅力は非常に分かりやすいものでした。


日本より人件費が安い。若いエンジニアが多い。100人、200人と開発者を集めれば、大規模な開発体制を比較的低コストで構築できる。


そのため、多くの日本企業やシステム開発会社がベトナムへ進出し、現地法人を設立し、エンジニアの採用人数を競うようになりました。


「ベトナムに300名のエンジニアがいます」「500名体制です」「1,000名規模の開発センターがあります」


かつては、この「人数」そのものが営業上の競争力になっていたと思います。


しかし、私はこのモデルが大きな転換点を迎えていると考えています。


これから重要なのは「何人抱えているか」ではありません。

「どのような体制で、どれだけ事業成果を生み出せるか」です。


「人数=競争力」だった時代が終わり始めている


生成AI、AIエージェント、AIコーディングツールが急速に普及したことで、システム開発の生産性は大きく変わり始めています。


これまで5人必要だった開発を3人でできる可能性がある。これまで数日必要だった実装を数時間で作れる場合がある。テストコード、ドキュメント、設計補助、コードレビューなど、これまで人間が多くの時間をかけていた業務にもAIが入り始めています。


この状況で、「人件費が安いから海外に大量のエンジニアを抱える」というモデルが永遠に続くでしょうか。


私は難しいと考えています。


実際、ベトナムのIT採用市場でも変化が起きています。


大量採用を続けることよりも、コスト最適化やAIによる生産性向上を重視する企業が増えています。


一方で、これは「ベトナムIT市場が衰退する」という話ではありません。

むしろ逆です。


単純なコーディング人材ではなく、システム設計、課題解決、AI活用、データ活用などができる高度人材の価値が高まっています。


つまり市場がなくなるのではありません。

「人を売る市場」から「能力と成果を売る市場」へ変わっているのです。


100人抱えていることは「資産」なのか

ここで経営者として考えなければならない問題があります。


100人のエンジニアを抱えている会社があるとします。

案件が100人分存在しているときには、それは素晴らしい経営資源です。


しかし、案件が70人分になった瞬間、残り30人は固定費になります。

さらにAIによって、これまで100人で行っていた仕事を50人でできるようになったらどうでしょうか。


これまで「資産」だった100人の開発体制が、一気に経営リスクになる可能性があります。

オフショア開発会社の経営は、実はこの問題と常に隣り合わせです。


案件が増える。採用する。人を増やす。売上が増える。さらに採用する。

この循環が続いている間は非常に強い。


しかし、案件が止まった瞬間、大量の固定費だけが残ります。

AI時代には、この構造そのものを見直さなければなりません。


「安い人月を大量に仕入れる」という発想も危ない

日本企業側も同じです。


ベトナムオフショア開発を検討するとき、

「日本人エンジニアなら月150万円だけど、ベトナムなら50万円」

といった人月単価だけで比較するケースがあります。


しかし、本当に見るべき数字はそこではありません。

重要なのは、そのプロジェクトを完成させるための総投資額と、そこから得られる事業成果です。


単価50万円のエンジニアを10名集めて12カ月開発すれば6,000万円です。

一方で、AIを活用しながら高いスキルを持つ5名で6カ月で完成できるのであれば、単純な「一人当たりの単価比較」にはほとんど意味がなくなります。


これからのシステム開発で経営者が見るべきKPIは、人月単価ではありません。

Time to Market、品質、総開発コスト、運用コスト、そしてROIです。

ここを間違えてはいけません。


ベトナム拠点は「作れば終わり」ではない

もう一つ、私自身がベトナムで事業をしてきたからこそ強く感じることがあります。


それは、海外拠点は設立よりも運営の方が圧倒的に難しいということです。


会社設立そのものはできます。採用もできます。オフィスも借りられます。


しかし、本当の経営はそこから始まります。

採用、退職、給与、社会保険、税務、会計、契約、現地法令、銀行、労務、マネジメント、現地パートナーとの関係。


さらに、事業環境が変わった場合には縮小や撤退まで考えなければなりません。


海外拠点を運営する以上、開発だけを見ていればいいわけではありません。

税務、会計、法務、労務まで継続的に追い続ける必要があります。


「人件費が安いからベトナム法人を作ろう」


この程度の判断で進出してしまうと、数年後に非常に難しい経営判断を迫られる可能性があります。


では、これからベトナムをどう活用するのか

ここが最も重要です。


私はベトナムオフショア開発そのものが終わるとは、まったく思っていません。

むしろ、正しく使えば今後も非常に強力な経営資源になると考えています。


ただし、前提条件が変わりました。


これから重要になるのは、次のような考え方です。

  1. 大量採用を前提にせず、必要な能力を必要なタイミングで組成する

  2. 日本側にPM、事業設計、アーキテクチャなどの上流機能を置く

  3. ベトナム側は実装だけでなく、QA、運用監視、DevOpsなど適性の高い領域に配置する

  4. AIを前提として、チームそのものを少人数・高生産性型へ再設計する

  5. 拠点設立時から、拡大だけでなく縮小・撤退まで含めて設計しておく


つまり、「日本かベトナムか」「内製か外注か」「AIか人間か」という単純な二択ではありません。


日本、ベトナム、AI、外部パートナーを組み合わせ、案件ごとに最適な開発体制を設計する。


私はここに、次世代のベトナムオフショア開発の答えがあると考えています。

TFは「ベトナム人エンジニアの人数」を売りたいわけではない

Tomorrow Future株式会社(TF)が提供したい価値もここにあります。


私たちは、

「ベトナムにエンジニアが何百人います」

ということを競争力にしたいわけではありません。


企業が実現したい事業から逆算して、最適な開発体制を設計します。

企画する。投資判断する。要件を整理する。日本側のPM・上流人材を配置する。必要に応じてベトナムの開発リソースを組み合わせる。AIを使って開発生産性を高める。リリース後は運用・監視・改善まで行う。必要がなくなれば体制を縮小する。

ここまで含めて設計することがTFの役割だと考えています。


単純に「安く作る」ことが目的ではありません。

システム開発への投資を事業成果につなげることが目的です。


このモデルは簡単には真似できない

ベトナムに行けばできるわけではありません。


現地法人を作ればできるわけでもありません。


優秀なPMを一人採用すればできるものでもありません。


日本企業の意思決定を理解する。経営者と事業について会話する。システム開発を理解する。ベトナム人材の特徴を理解する。現地の商習慣を理解する。採用・労務・税務を理解する。AIによる開発生産性の変化を理解する。そして、問題が起きたときに自分たちで解決する。


こうした経験の積み重ねが必要になります。


特に海外事業は、教科書通りにはいきません。


実際に拠点を運営し、採用し、人をマネジメントし、トラブルを経験し、事業環境の変化に応じて体制そのものを変えてきた経験がなければ分からないことが非常に多い。


これは、にわか仕込みで参入して簡単に再現できる領域ではありません。

ここにTFの協業優位性があります。


「何人いますか?」ではなく「何を実現できますか?」

これからオフショア開発会社を選定するとき、ぜひ質問を変えてみてください。

「エンジニアは何人いますか?」


ではなく、

「私たちの事業を成長させるために、どのような体制を作れますか?」

と聞いてみる。


その回答に、日本側の上流設計があるのか。AI活用があるのか。ベトナムの活用方法があるのか。品質管理があるのか。運用保守があるのか。事業が変化したときの体制変更まで考えられているのか。


ここまで確認すれば、その会社が「人を提供する会社」なのか、「事業を一緒に作る会社」なのかが見えてくると思います。


「ベトナム=安価な開発人材を大量に抱える場所」


そんな時代は終わりつつあります。


これからのベトナムは、安い労働力を調達する場所ではありません。


AIと優秀な人材を組み合わせて、事業成果を生み出す場所です。


TFは、その新しいベトナム活用モデルを実践していきます。

ベトナムオフショア開発を始めたい。すでに活用しているが、なかなかうまくいかない。ベトナム法人を設立すべきか悩んでいる。開発拠点の縮小や再編を考えている。


AIを前提に開発体制を見直したい。企画から要件定義、開発、運用監視までまとめて相談したい。


そんな企業の皆さまは、ぜひTomorrow Future株式会社へご相談ください。


「開発会社を探す」前の段階から、一緒に考えます。

 
 
 

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