AI活用とベトナムオフショア開発のシナジーで未来を切り拓く
- Daisuke Neigisi

- 10月22日
- 読了時間: 7分
—シニア人材は「日本×ベトナム×AI」の三位一体が最もコスパが良い—
ベトナムのオフショア開発は、**適切な設計・レビュー・意思決定を担う“本物のシニア”**が前提にあるとき、最大成果を発揮します。
ところが実務では、シニア相当の役割を海外で調達しても、期待した生産性や品質が出ないという声が少なくありません。
私たちの結論はシンプルです。
シニアクラスは日本人リードを採用し、ベトナムの中堅〜ジュニアとAI支援を掛け合わせるのが、総コスト・納期・品質の三拍子で最もコスパが良い。
日本側シニアが要件定義・アーキテクチャ・品質ゲート・意思決定を握り、ベトナム側が実装・テスト・運用をスケールさせる。さらに**AI(LLM・自動テスト生成・翻訳・コードレビュー支援)**を組み込む。これが「失敗しない」王道設計です。
なぜ“海外シニアの採用”だけではコスパが悪化するのか
以下は、私たちが国内外の多数の案件で観測してきたよくある落とし穴です。
シニアの定義のズレ
タイトルや年次≠実力。特に要件の曖昧さを前提に意思決定する力、非機能要件の設計、品質ゲート運用は、プロジェクト慣性(日本側商習慣・言語・業務特性)への理解がないと効果を出しにくい。
コミュニケーション摩擦コスト
仕様変更や意思決定の頻度が高い新規事業ほど、“すり合わせ速度”が成否を分ける。ここで遅延が生まれると、外見上の人月単価の安さを一気に食い潰す。
レビュー密度の不足
上流が弱いと下流をいくら厚くしてもやり直しが増える。結果、実装量×改修回数で総コストが膨張する。
品質保証(QA/QC)の設計不足
テスト戦略・自動化・欠陥管理を日本の運用現場に接続して回す難度は高い。ここを日本側シニアが型化できるかで事故率が大きく変わる。
ナレッジが積み上がらない
個人スキル頼みだと、チームとしての再現性が出ない。標準化・テンプレ・ガイドラインがないままスケールすると破綻しやすい。
“本物のシニア”に求められる4つの役割
日本人シニアが担うことで、コスパが劇的に改善する役割は以下です。
役割1:上流の不確実性を潰す
ビジネス要件→システム要件→非機能要件まで意思決定の骨子を作る。変更管理のルールも先に敷く。
役割2:アーキテクチャ/技術選定
TTM(Time To Market)、将来の変更容易性、セキュリティ・運用コストを総合最適で決める。
役割3:品質ゲートの設計&レビュー
デザインレビュー、コードレビュー、テストレビューをゲート化し、適切な重さで回す。
役割4:“日本の現場”に接続した運用設計
障害対応基準、SLO/SLI、監視/アラート設計、監査・コンプラ要件への適合までを最初から埋め込む。
ベトナム側チームの最大価値:実装力×拡張性
ベトナムのエンジニアは実装スピードと勤勉さ、リソースの拡張性が強みです。
ただし、それが質・納期・コストとして安定的に出るのは、上流が強いことが前提。日本シニアが「何を作るか」「どう作るか」「いつ何を確認するか」を構造化すれば、ベトナム側のパフォーマンスは一段と上がります。
AIを掛け合わせると何が変わるか(実務で効く7点)
要件→テスト観点の自動抽出(見落とし削減)
Spec→コードスケルトン生成(初速UP)
AIコードレビュー(バグ早期検知・スタイル統一)
多言語翻訳&議事要約(すり合わせ速度UP)
テストケース自動生成&回帰の自動化(品質の底上げ)
運用Runbook生成(障害対応の標準化)
設計ガイドライン・テンプレ自動整備(ナレッジの再利用)
ポイント:AIは“人を置き換える”のではなく、日本側シニアの判断力を増幅し、ベトナム側実装チームの生産性・再現性を底上げするための「ギア」です。
コスパの“真実”を数字で捉える(試算例)
※前提が案件ごとに大きく変わるため、以下はモデルケースです。
モデル | 上流/意思決定 | 実装/テスト | AI活用 | 月間総工数(人月) | 月額概算費用 | 想定不具合流出 | 追加改修工数 |
A:海外シニア主導 | 海外シニア2名 | 海外中堅4名 | 低 | 6.0 | 600〜720万円 | 中〜高 | 高 |
B:日本シニア主導+ベトナム中堅 | 日本シニア1名 | ベトナム中堅5名 | 中 | 6.0 | 520〜620万円 | 低〜中 | 中 |
C:日本シニア主導+ベトナム中堅+AI強化 | 日本シニア1名 | ベトナム中堅4名+ジュニア1名 | 高 | 5.2 | 470〜560万円 | 低 | 低 |
示唆:意思決定と品質ゲートを日本側で最適化し、AIを織り込むことで、工数総量を削減しつつ品質を上げながらコストも抑制できる。
推奨オペレーションモデル:
Japan Senior Lead × Vietnam Delivery × AI
RACI(誰が何を決めるか)を最初に固定します。
Responsible(実行): ベトナム実装/QAチーム
Accountable(最終責任): 日本側シニア(PM/Tech Lead)
Consulted(相談先): ビジネス側PO、SRE/セキュリティ、AIツール管理者
Informed(共有先): ステークホルダー全体
品質ゲート(例)
G0:要件定義承認(変更管理ルール確定)
G1:アーキ/非機能承認(スケーラビリティ/セキュリティ)
G2:設計レビュー(AIレビュー併用)
G3:コードレビュー(静的解析+AI+人手)
G4:テストレビュー(自動化比率KPI化)
G5:リリース判定(運用Runbookと監視アラート確認)
コミュニケーション設計
週次:PO/日本シニア/ベトナムTLの15分“意思決定”会議
日次:Dev/QAの10分スタンドアップ(AI議事要約)
障害:Severity別SLA+即時テンプレ報告(AI下書き)
KPI/OKRの例
KPI:欠陥流出率、再作業率、レビューリードタイム、テスト自動化率、MTTR、ベロシティ安定度
OKR例
O:リリース頻度を月1→隔週へ
KR1:自動テスト比率を30%→60%
KR2:レビューリードタイムを48h→12h
KR3:欠陥流出率を0.8→0.3/リリース
30-60-90日の導入プラン(最短で回して成果を出す)
Day 0-30(設計期)
プロダクト仮説→要件骨子→非機能(セキュリティ/可用性)整理
RACI、品質ゲート、チケット運用、分岐戦略(Feature Flag)定義
AIツール(レビュー/翻訳/テスト生成)のガバナンスルール制定
Day 31-60(試作期)
POC/スパイク→最小価値リリース(AIで設計補助・コード雛形)
テスト自動化初期セット(CI/CD配線)
日/週の意思決定リズムを定着
Day 61-90(拡張期)
機能追加とパフォーマンス/スケール検証
監視・運用Runbookを整備、SLOを本番運用へ接続
コスト対効果レビュー→次四半期のロードマップ更新
よくある質問(FAQ)
Q1:日本人シニアは高くないですか?
A:“総コスト”で見ると、やり直し削減・意思決定速度・品質安定によって月次の総額がむしろ下がるケースが多いです。特にリリース遅延や重大障害の機会損失まで含めると差は顕著です。
Q2:既に海外シニアを雇っています。日本シニアを追加すべき?
A:段階的な“二人体制”から始めるのが有効です。最初は設計レビューと品質ゲートに絞って日本側シニアを起用し、成果が見えたら責務を拡張します。
Q3:AIはセキュリティ的に大丈夫?
A:利用範囲・データ取り扱い・ログ管理のポリシーを先に定義します。社内/閉域LLMやオンプレ/専用テナントの選択肢も含め、ガバナンス設計を私たちが支援します。
Q4:どの領域からAI導入を始める?
A:“外しても副作用が小さい領域から”が鉄則。要件→テスト観点抽出、議事要約、静的解析の補助などリスクの低いところから着手し、成功体験を横展開します。
こんな企業様に読んでほしい
ベトナムオフショアを活用したいが進め方がわからない
既にオフショアを使っているが、うまくいっていない/ムダが多い
新規事業を素早く立ち上げたい
企画〜要件定義〜開発〜運用監視を一気通貫で任せたい
何でも相談できる伴走パートナーを探している
TomorrowFuture(TF)が提供する“コスパの良い”体制
日本側:シニアPM/Tech Lead(要件・アーキ・品質ゲート・運用設計)
ベトナム側:中堅〜ジュニアの実装/QAのスケール部隊
AI支援:レビュー/翻訳/テスト自動化/Runbook生成/ナレッジ整備
標準化:RACI、品質ゲート、テンプレ、CI/CD、SLO設計を最初に敷く
アウトカム志向:リリースまでの日数短縮、欠陥流出率の継続低下、運用の事故率低下、総コストの逓減。
まずは無料相談(スコーピングセッション)
現状の課題ヒアリング(30–45分)
既存体制・プロセス・成果物のライトレビュー
最短90日の改善ロードマップの提示(サンプル)
適用可能なAI導入ポイントの優先順位付け
お問い合わせはNoteのDMまたはプロフィールの連絡先へ。課題・資料があれば事前共有いただくと精度が上がります。
まとめ
オフショアの成功は**“誰が上流を握るか”**で決まる。
日本人シニア×ベトナム実装×AIは、品質・納期・コストの総合点で最強の布陣。
TFは、この三位一体モデルを型として提供し、短期で成果を出します。




コメント